夜明けのサイバー

 


えっ…ああ、そうだね、えーと、西荻。


西荻で何してんのかって? それきみに関係ある? 
今日は二万くらいかな。
正直なとこ僕らがやる事なんて、飲む打つかうくらいしかないからね、え? 買ってんのかって? そんなわけないでしょ。つかう。飲む、う、使う、そういう感じ。
夜がさ、長くて。
ボギー、誰? 僕らはそりゃタメだよ、一日単位で同じ年だもん。
年なんてさあ、忘れちゃうじゃん。記号じゃん。全部、名前も年も色もぜんぶ、記号なんだからさ、そんなものに振り回されるのってはっきり言ってバカだよ。
三十二? そんな年じゃないってば、たぶん。死んだ? ああ、クスリ、たぶんね。

目の色が少し変わってるんだ。耳の形もね。
薄くて、皮膚の色も薄くてそれがまあ、性的。
ドナスィヤン・アルフォンス・フランソワ・ド・サドの仰ることには人間の体の穴はことごとく性器なんだって。 誰? トド? 違うって。サド。しらないよ。あの人知ったかぶりだからどっかで読んだんだろうね。

穴ってさあ。鼻の穴とかどうしたらいいわけ。
僕としては臍の穴のほうがいいけど。穴としちゃ不完全? セックスって本質的に内臓粘膜を刺激することだから、臍は違うって。そりゃそうだけど、そこに至らない不完全さがたまんないんじゃん。ああまあそういうプレイもあるの? しらないけど。気持ちはわかる。

サイバーってね、
僕らはサイバーだから僕はサイバーになりたい。サイバーってつまり、サイバネティクス。語源はギリシャ語なんだって。船の舵をとるもの。え? かっこよくない? すっごいかっこよくない? 舵を取らないとね、間違った方向にいっちゃうから。

…そうでもないよ。
朝が来る前の夜の色。夜を超えて朝を超えて、
その空間には曖昧ってもんがないわけでね。だから逆にすべてがあいまいだからIとMYだから、むしろ何が正しいのかわかんなくてぶっ壊れたくなるよね。
ブレーキ壊れた車でずっと下り坂をさ、落ちていくって感じ。
そのうち上も下も左右もわかんなくなってね。それでも走ってんの。極端さがあの人らしいよね、僕も嫌いじゃないよ。蹴り飛ばしたり引き止めたり、でも走ってくんだよ。
ボギー、いや違う、サイバーだって。チョロ松兄さんは元気だよ。だからタメだってば。ニート、八年くらいかな。この夜が明ける前に、重さをなくしてぶっ飛んじゃいたいね。二人で、わけわかんないくらい。

 

 

 

 

9*7=63の日ポエム。
よあけのボギーのパロディ。自分だけが楽しいです平謝り。
「兄さんの甘い場所、それだけ僕に頂戴よ」「は?」
顔真っ赤にして腕グルグルしたらいいです。
そんなセリフが許されるのはチバユウスケだけです。