2025/01/16
夜の外側 イタリアを震撼させた55日間
『夜の外側』2022
エドガルド・モルターラに続き、ベロッキオ監督の作品。
年末に下高井戸シネマで上映されたのに誘われて340分、つまり5時間40分を前後編で部続けてみました。
いや~~~~イタリア人は体力ある!
ベロッキオ監督だって80越えてるんですよ。
ハイゼ家100年がまさにドイツならこっちは超イタリア。
イタリア人の圧倒的な濃さと体力と激しさ340分。
ベロッキオは「家族、宗教、精神病」がテーマらしいです。まさにそれ
イタリア、キリスト教民主党の党首アルド・モーロ誘拐事件を関係者の視点から史実と想像を交えて描きます。
アルド・モーロ誘拐事件は謎が多く今でも研究されているそうです。
赤い旅団というテロリストの犯行ですが背後にマフィアがいた?とか当時の首相が絡んでるとか色々と推察されています。
政治的な動きの果てに、結局モーロは殺されてしまうんですね。
彼と親しかった教皇パウロ6世も登場します。
誘拐事件の無事を祈るためおなかに刺の鎖ベルトみたいなの巻く。
1978年なのに。おじいちゃんがおなかからダラダラ血を流して…
カトリックのべらぼうなМ指数に驚愕です。DV宗教なのにマゾも?
「DVの根底にはマゾがあるから。暴力で絆を深める点で同じです」
「自分で鞭打ちとかしますしね」
「左頬もうたせろとかね。神との関係は契約なので、すべて契約ベースです」
「それで愛とか言ってんですか」
「その愛も契約だから」「ひぃ!」
「神を信じない人に言葉が通じるのかって無神論者を獣虫扱いしてましたね教皇様」
「人間中心主義の狭さですね」
「器物にも魂宿るし喋る感覚ですもん、こっち」
「キリスト教のヤバさ…これを二千年信じて文化ベースにしてきたうえに暴力で支配して強いから正しいをやってきたわけで、そりゃ狂ってますよね」
冒頭の、アルド・モーロが帰宅して一人で暗い台所で目玉焼き作って食べているシーン。
淋しい生活の人なのかなと思ったら妻は寝ていて、いい家で孫や娘と楽しく暮らしていました。
夫(元首相レベル)が夜遅く返っても妻は起きてこないんですね。
「自立した人間ですから」
「ひぃwww」
女性がずっとメイド感覚の日本とはちがいますね。
妻を女中扱いする夫もされっぱなしの妻も自立していないということですか。
総理の妻がお好み焼作って脇で立ってる貧乏くささとは縁がない世界です。
モーロの妻が殉職した警官の妻に電話した時も、身分が低い方がへりくだったりしないんですね。
中高年男性ばかりの国会から46年後にメローニ首相がでるのも納得です。