決して消えない光

 

There Is The Light That Never Goes Out


家に帰りたくないんだ、今夜車でどこか遠くに連れていって 
ダブルデッカーやトラックに衝突されて死んでも、君と一緒なら最高に幸せさ



The Smithsの曲でそんなのあったなあ、最高にBLだよなあ(ボーカル/リリックのモリッシーは同性愛者なので)どんな歌詞だったっけ
と検索していました。


私はこの曲を

「家が安らぎの場ではない少年がいる。夜になるたび父親と母親が喧嘩をしている。
殴られることもある。彼は少しばかり大人しくて一人で本を読んだり音楽を聴くのが好きだ。だけど怒鳴り声の響く家にはいられなくて、夜の街を徘徊している。
彼よりも少しばかり不良で行動的な少年がいる。同じように行き場がなくて行く当てもなく車に乗る。隣同士、ひとときの体温と安心に揺られ、暗闇に瞬く幾つものネオンの色に照らされながら、でもあと数時間のうちに家に帰らねばならないんだと思う。事故が起こってこのまま二人で死ねたらいいのに。消えることのない光がそこにあればいいのに」

という歌だと思っていました。

リリカル~~リリカルBL!

「毎日が日曜日」でも「いっそアルマゲドンが起きて爆弾が降ってくればいいのに」と歌っていましたしね。

「決して消えない光」が何を指すのか、
あるHPで(リンクは気が引けるので曲名で検索すればすぐ出てきます)なんと!こういう解釈があったのかと胸をうたれて萌えに震えて。

この歌は「引きこもり青年の夢想」であり、
「消えない光」は彼が一晩中明かりをつけて起きている窓であり、
彼をどこか知らない、人々が本当に生きている世界へ連れていってくれる君は音楽や文学や詩であり、それが「決して消えない光」であるというものです。


なんという美しさ…
美しすぎます!


孤独で、文学や音楽だけが救いだった故郷マンチェスターでのモリッシーの若き日々に通じるというのは、去年の映画「イングランド・イズ・マイン」を見て実に沁みるものがあります。
マンチェスターはギャラガー兄弟の出身地でもありますし、工業都市で雑な土地柄のイメージ。
ここから逃れたい!どこかに行きたい!と熱望し希望を折られる日々に泣くひねくれ文学青年モリッシー…


この解釈の素晴らしいところは、もう一人の少年とドライブしながら死を願う僕をも含んで成立するところです。
引きこもり青年が夢想する消えない光は、僕を連れ出して新しい世界を見せてくれる誰かであり、それは文学や音楽や詩でもある。
肉体的な救いであり精神的な救いである。
その光の中で死んでも、そこには消えることなく光があり続けるというのは、創作活動と恋愛に等しくある願いです。




これは詩だからいいよね。
もし小説だったらこんなにも広がりのある想像はできないと思います。
ミラン・クンデラの言うように「小説とは反抒情的な詩である」というものでしょうか。
反抒情的な詩って何?と聞かれたら、「は、はんじょじょうてきなしだよ!」としか言えないんですが(ばかめ…)

抒情抒情!