2023/01/24
天才柳沢教授の生活
久しぶりに読み返しました。
以前は響かなかったようなことが胸にきて1巻から泣いてた…年か…
というか、80年代の、日本がこんなに心貧しく暗い、未来がない状態になるなんて想像もできていない世界がもうなんか。
なんだろうね、この時代がそんなに良かったわけでもないと思うのですが。
お金があっても品性や本質はずっと貧しかったと思うから。
でも、お金があって品性が貧しいのとお金がなくて品性が貧しいのだったら、まだ前者のほうがまし。
大学生が車を持っているのが普通だったり
着飾って街に繰り出すワンレン・ボディコンの女子大生とか、そうか、本当にあったんだそんな時代、って感じで。
そのあとの女子高生ブームって、この女子大生ブームとはちょっと違うんですよね。
若い女性性を搾取しおもちゃにするのは同じだけど、女子大生ブームは、主に同世代~2,30代の男性をターゲットに、「金がある男=バブルで勝った都会の男は若い女と遊べる」「金のある男に女を高く売る」という幻想だったと思うけど、
女子高生ブームからパパ活に至るまで、日本の経済衰退とともにそういう所から弾かれた男性が、金銭感覚が低く自分を脅かさない子供を性的搾取してみじめさの突っ支い棒にする側面があって、世の中が貧しくなるにつれてその傾向だけがずっと強化されてる気がする。
しかも「彼女たちが自主的に行っている」「供給している」という意思決定を押し付けてるとこがほんと悪質。
庵野秀明とかなかった顔してるけど、薄っぺらい女子高生搾取映画とってたこと忘れませんよ。
橋本治が源氏物語評論でいってた、男は女でしか内面を表現できない、とはこういうことかと思います。
さて、柳沢教授のモデルとなった山下先生の父上のお写真を見て、
うわあ、山下先生が描くハンサムじゃん!!
と思いました。
しゅっとした、細目の美形。
ただ学問が楽しくてお金や世俗のことを忘れてしまう
このお父様を見て育たれたからこその山下先生なんですね。
私の父も国立大学教授だけど、全然こんな清らかな品性の高さはない。
いっては何だけど、傲慢で品のないエリート感覚だけが突出した悪い意味で普通じゃない人です。
なんか、正直、若いころはこういう意見にとても反抗的だったけど
やっぱり、代々育ちがいい、って大事なんだなと思う。
教養とか教育とか品性って、やっぱりすぐには身につかない。たいてい。
全員とは言わない、でもだいたいそう。
私も子どものころから表面インテリな育てられかたをしたけど、品性下劣だもんな。しみじみ。
だから、一代の成り上がりはお金や肩書があっても品性がない。教養がない。
だから、美術品を買ったりクラシックを聞いたり高級品を身に着けたりそういう場に行ったりする。
お金にふさわしい品格をつけようとする。
だから、三菱の創業者や子孫は美術品を蒐集したんですよね。
「美術品を見る目がある、それを見極めて所有することができる」
は、大昔から富裕層、貴族、王族の証明だから。
でも物ごとは大衆化するに従いレベルが下がるものなので、
「美術品を買ったり高いものを身に着けたりするのがお金持ち」
ってなっちゃったんだね。
貧しさだよね。本当に。
しかし民主主義、平等の世の中で代々本当に豊かな人なんてそうはいません。いなくなるしくみだから。
だから、公共がその代わりに高い教育や美術館や図書館を整備する。
それが国民の品格をつくる。
と思うんですけどね…
東博が電気代払えないんだって。
日本の現状を見ていると本当に悲しくなります。