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あとで自分で見る用。色々と雑多に勝手なことをいってます。 お気になさらず。平気でネタバレするよ!

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ゴールデンカムイにおける父権と、対立理論としての谷垣、など

 
ウエジの過去エピソード
 
たった2ページだけど(次巻にも出てきますけど)、父権の抑圧に傷つけられてきたのがとても分かりやすくわかります。
 
父権というのは父親あるいは父親的なものを長とし権力を持たせる構造で、その構造を維持し成り立たせるため、おおっぴらにあるいはひそかに人間を支配する社会のシステムを指します。

金カムの中で、父権制により損なわれてきた男性たちと、彼らの比喩的な意味も含めた父殺しというのは非常に興味深いです。
 
生育史で何に損なわれたのかの中に、父親に傷つけられてきた(母親の場合も遠因に父親がいる)というのが続々出てくるんですが、男性作家が男性キャラクターを用いて、こういう形で父親を告発するのはとても珍しいと思う(フィクションの父殺しは大抵「伝説的父親を倒す、超える」で正負含めた父権の継承なので)
一人だけではなく、何人もいるのが、明確に意図されていると思うし、
鶴見中尉という「成り代わり」がいるのも象徴的ですよね。
 
女性だけでなく男性も様々な形で差別され傷ついてきたんだと、いまだに言えない抑圧があるのが前近代的父権制で、終わったのに死なない昭和です。家族はいいものかもしれない、でもそこで傷ついてきた人もいるんだよを描きながら、その被害者としてでなく加害者(殺人者)になってやりたいようにやる自由な姿を見せたり、時にストレートに父殺しをしたりで、父権の否定をしているのがとてもいいと思います。
 
 戦争やそこでの組織的な殺人も父権的な力と言い換えることが出来るでしょう。
 
メインキャラクターの中で、告発される父権と対照的に「父からの正しい継承」を体現する存在が谷垣です。
鶴見中尉に入り込まれるような心の穴を持ちながら、二瓶という師に会って兵士(組織的上下関係の中の殺人者)からマタギ(命の輪の中の平等な一人)に戻る。未熟な少年チカパシに自分の力で立つことを教える。
「勃起」という言葉は男根的マチズモではなく、「おのれに拠って立つ、奮起と気骨」であろうと思います。自分の勃起は自分のもの、自分で立たせるべきで、父権を中心とした組織の中で女性を玩具にし互いに擦りあって立たせるものではない、ということです。
 
谷垣は、インカラマッと出会い、いかにも美しい絵空事の恋愛ではなくリアルに成り行きからの情が深まるところから子供が出来て、新しい家族を作っていきます。
それは「愛し合う両親から生まれた祝福された子供」というより、もっと自然で、泥臭く、愛とか祝福とかの大袈裟な言葉を越えて寄り添いあう、いきものとして素直な人間の姿に見えます。
谷垣がマッチョで毛深く、いわゆる男性的な姿なのに、男性からセクハラされ、少女たちの中で自分が至らないと泣くところも、父権(いってしまえば女子ども弱いものを一段下の存在とすること)へのアンチテーゼと受け取れます。
いいよね、谷垣。作者にすごく愛されるのも無理はありません。
 
 
 
父権支配への告発と離脱の苦しさを描いている一方で、未来を背負わされ判断するキーパーソンがなぜ少女なのか?
なぜというか、それはどういうことなのだろうか?
 
 
・主人公たち(読者世代)が身を置いてきた戦争、仕事、社会、家族といった「男の」人生において、少女というのは「自分たち男の力によって関係を変えられる=何物でもない=無垢な」存在であること(「女」だと妻や恋人といった過去=父の既成概念に入ってしまうので、それでは自由になれない)
 
・旧世代の価値観(戦争という過ち)で人を殺し傷ついてきた主人公にとって、今まで触れてこなかった人生の側面=子供で女性であるゆえに、相棒として新しい未来を切り開ける希望の存在であること
 
・少年だった場合、あまりにも自らに近すぎリアルなので理想化した存在として未来を託せないし、相棒にもなれない。
なぜなら父権社会からまだ脱却できていないので、少年を「自らに教えを与える」「相棒」「尊い存在」として許容できないから
 
そういう感じもあるのかなと。
もちろん、ビジュアル的な良さや動かしやすさ、新しさの表現などいろいろな理由があると思います。 
少年少女が世界を変える! 的なフィクションを望む欲望は、現実にはグレタ・トゥーンベリの活動を支持する気持ちに繋がるとはあまり思えないんですよね。
その幻想や、妄想の仮託とは何なのだろうと思うんです。
女性側からの男性への妄想と欲望というか性欲リビドーも興味深いですけど、ちょっと痛くて…自分が…目が痛くて。あと女性の妄想と欲望は現実社会にさしたる力を及ぼさないのでね、今のところ、経済利用される以上の影響は、あまり。
 
 
作中でリパさんが「杉元は純粋だった頃の自分を私に重ねている」といいますが、
過去の自分を重ねるのなら少女ではなく少年である方が自然です。
なのに、少女に重ねている。
そこには何らかの欺瞞があるはずです。
少年はチカパシのように普通のバカでスケベな存在だと描きつつ
でも本来の主人公はこの少女のように清らかだった
人殺しなどしたくなかった。でも「男であることに疑問も嫌悪もない」
何かしら矛盾した感覚がある気がします。
尾形は勇作さんとアシリパを重ねていますが、杉元が勇作さんに「純粋だったころの自分を重ねる」のはありえないんですよね。

しかし古今東西、人間が心の穴を埋める幻想を求めるのは生存本能で、だからこそ物語を求める。その求められる物語が何か、というのに人間の普遍と時代の欲望という二つの形がある。と思います。まる。
 
 
 
 
 
 
 
 

ゴールデンカムイ25巻感想

 

 

あれ。本誌から修正けっこうありますか?

上等兵エピソードや勇作さん絡みなど、記憶にあるのとセリフが違うような。
ヤンジャンアプリを見たら既に修正済みだったのですが、ちゃんと本誌購入して修正箇所をサイトで検証している方がおられました。
ありがとうございます!!! スライディング土下座感謝! 
後世に必要なのは客観的事実資料なんですよね。本当にありがたいです。
思った以上に修正をされていて、ノダ先生すごい!なんですが、気になる『上等兵たち』のところだけ

  • 本誌:『勇作を殺して父上がオレに愛情があったとわかればしょせん勇作だってオレと同じ人間になりえた道がある、そう思わないか?」
    ⇒ 勇作を消せば自分が父に愛される可能性がある → 勇作だって結局人を殺す人間かもしれない 

  • 単行本:『実は俺も父上から愛されていたとすれば? その場合俺と勇作殿との違いは何も無いってことだよな?』
    ⇒ 俺が父に愛されれば勇作と同じ → 高潔で殺人をしない勇作と殺人を犯す自分に違いはない(愛情より勇作が自分と同じことが重要)


    微妙に違うんですが、11巻の段階で「勇作がいなくなったらもう一人の息子を想うのではないか、愛おしくなったのではないかと」父親の愛情を確認するための殺人、のように言っていたのが、「勇作と俺は同じ」ことを確認するため、と描かれているんですね。
    何が同じかというと、「俺は人を殺さない勇作と同じ」ということです。

この辺の修整は尾形を最終的にどう明確にするかのための修正だと思うので、後述します。

  • 本誌:一番安い駒 → 単行本:農民出身の一番安い駒

宇佐美の出身階級に絡めたセリフ追加は後あとの布石というかフォローでしょうか。
トムとジェリーみたいな二人…仲良く喧嘩しな😊
色々と言い回しや見せ方が変わっているところ、方向が若干違うけど尾形理論がおかしいのは同じで、おかしい論理を「やっぱりオレはおかしくないな」っておかしい宇佐美に確認するところどうしても笑ってしまう。
訂正して欲しくないから異常な人に確認するって的確すぎる。
(オガタ理論は部分的にはおかしくないし頷けるところもあるのですが、トータルで聞くとおかしいんだよね。本人もどこかでわかってるから宇佐美を選ぶとこがすごい)


宇佐美の嫉妬が月島さんへ向かないのは本誌読時には、争いは同じレベルでしか発生しないからだよな、と思っていましたが

『月島軍曹殿は本当の鶴見中尉殿を理解できていないから』

の詳細として過去回想の鶴見と宇佐美の会話が追加されました。


『いいなあ、僕も月島軍曹殿みたいに鶴見中尉殿から「駒」として扱われたい』『あれって最高の使われ方じゃないですか』
『 私は部下を「駒」などと思っていない』
『 はいはい…でも僕が鶴見中尉殿に「戦友だ」なんて言われたら吹き出しちゃうかも』


菊田氏「うちの上等兵はどうなってんだ?」いやほんと、お察しします。というか、おかしな上等兵って言及されてるの宇佐美と尾形だけ。お察しします。
自分はあなたのこと理解してますからってアピールして嫉妬の対象を笑って落としておけば、表面的には負け戦しないで済みますね。
とか言ったらぶっ殺されそうだけど…。

メンコをする少尉と軍曹。月島さんはつきあいがいいな…人情家
その月島さんへの「戦友だ」シーンの拡大からの駒扱い。
宇佐美の尾形への絡みから流れ弾。
鶴見中尉は月島さんを惑わすのが人生の目的なの?
ってくらいなにもかも月島さんかよ、なんですが、もうむしろそれでいいんですが、これも後々の為の修整でしょうか? 今本誌えらいことになってますので。


破綻しつつ自分にとってだけ筋の通った論理を語る殺人者達の奔放な生きざまは、正しい論理を選ぼうとして苦しむアシㇼパさんよりずっと爽快で愉快だけど、むろん人としてそっちを目指してはいけない。


IMG20210218175822.png

(息抜きの自家製あん肝。自分が作ったわけではありませんが…。あんこう鍋と日本酒のおともにどうぞ)



金塊を手に入れてどうするかの夢を語る人々の中で「いつもの娯楽」しか出てこない自分を考えるシライシの明るい虚無。
七面倒な理想やら誰かの為やら天下国家的を語る人に比べ、酒を飲んで遊郭に行ければいい以上の欲が浮かばない白石は、必要以上を求めない自然のようでもありますが、自分の生い立ちを思って「何か欠けてるのかな」と思うのかもしれません。
欠けているからといって殺人みたいなとこにいかない、白石の凡庸でまっとう(泥棒で脱獄王だけど)な好ましさ。
本気を見せない一方、信用されていないのかと密かに落ち込む。
大丈夫、それでいいです。私は白石が好き(誰への主張)


ボウタロウの野望って海賊王になる的な無邪気さがあるんですが、人に忘れられたくないから自分の国をつくって家族を増やして語り継いでもらうんだ、ってのが子供の無邪気の悲しさや暴力や残酷に通じる。
『季節のない街』で虐待されてされて耐えた子供が、好きな子を刺してしまって「死のうと思ったらあんたに忘れられるのが怖くて堪らなくなった」の悲しさに似てる。
「どうして?忘れたりしないよ」と言ってあげてほしいです。あと日本語読める人は全員『季節のない街』を読んでほしい。


ボウタロウとシライシの絡みは、互いに心をあかさないけれどそのことを互いに了解したうえでの絶妙な距離と理解で、まあかなり人間関係としてエロティックだと思います。
覆いかぶさって髪の毛を目の上に垂らすとかさ~~なんだよボータローは。
髪の毛のスタンド使いだよね。確実にね。

リパさんがスギモト好きなのはいいけど、男女の深い感情を全部恋愛絡みにするのはちょっとな。

自然は必要以上のものを取らない。とても同意。足るを知らない強欲はやっぱり人間の悪の一部で、どこかで自制すべきだと思う




勇作さんと尾形に関しては
11巻での感想は
「母が死ねば父は会いに来る=愛情の証明である=自分のしたことは正しかった」から連なる、「勇作が死んで自分が父親に愛されていたとわかれば自分が母を殺したのは正しかった」であり、「であれば、勇作もオレと同じである」ことがわかり、そこで初めて母を殺した自分が正しいと証明され、勇作さんも受け入れることが出来る、でした。

愛されたかどうかが自分を形成したのではなく、愛されていたなら自分はこう形成された存在であるはずだというのは、殺人者である自分をどう許容するかという話じゃないか、と思います。
殺人、と一般化していますが、ただ一つ、母殺しを指しているのだと思う。
尾形の母殺し問題は長くなるので別途。

今回の修正は、野田先生が尾形を最終的にどう描いて決着をつけるかが決まってきたことで、それは尾形にとって自分が殺人者である事とどう折り合いをつけるかなのでしょうか。
でも、勇作さんに振り回されて悪霊呼ばわりする罪悪感なんてクソがって尾形も好きだな。

ウエジについては次で。父権制と金カムについて。



感想をちゃんと書き留めておくの大事。
すぐ忘れちゃうから。さっき言ったことも忘れる。
忘れる上に考える力も衰えるから、時々フィードバックしないと。



最近の眉毛兄弟

 

Happy Mother’s Day to the 1 n only Peggy G your the best Mam in the world I love n adore you hope you have a great day lots of love from your favourite son the 1 n only LG x

母の日おめでとうをワンアンドオンリーのペギーGへ 世界で最高のママ 愛と崇拝を込めて 素晴らしい日を願ってる。ママのお気に入りの息子ワンアンドオンリーなLGより愛をこめて


イギリスでは四旬節の第四日曜日が母の日だそうで、だいたい3月のはじめ頃なんでしょうか、とにかくママへいいこなメッセージを送っていました。

50近くなってもママっ子。会えないの寂しいね。頑張っててえらいね🐶🐾💖(幼稚園の先生?)

ところで眉毛の兄弟、共同で映画製作会社を登記。
ボヘミアンラプソディーのような伝記映画を製作するのではということです。

https://nme-jp.com/news/99918/

これは、二人の合意で、仲直りの兆しなのか
それともデビ―など周囲のブレーンによる計画なのか
とにかくリアムは嬉しいみたいですね。絵文字使っちゃって

There gonna put in the movies 🎥 there gonna make a big star ⭐️ out of me c’mon you know LG x

 

さて、親世代だけではなく息子世代もなにかやらかすようです。

長男、レノンがバンドのフロントマンとして音源リリースするらしい。
こないだまでモデルやってましたが、今度はバンド
うっかりすると、「ああ自称ね、本当の仕事はなに」と言われかねない無職と区別が難しいお仕事ですが、二世ですから生活に不安がなくていつまでもモラトリアムができるのでしょう。多分。

で、リアムはレノンをとても誇らしく思ってたくさんアドバイスしているようです。

うざがられているんだろうなあ。

https://nme-jp.com/news/100072/

 

「兄弟でやれよ!とかいってマジギレされる。お前の二の舞にはなりたくねーんだよ!って」
「でもレノンは思っても言わなさそうだな。無言でディスタンス。子供の時も口をきいてくれないって言われてたし、心のミュート」


いつもながらですが、家族の絆や一体感やウエットな情感そっちのけで
各々がしたいように喧嘩をしたり口出ししたりやりたいようにやっていて微笑ましい。
GO ON ギャラガー!

 

 

 

 

貴族ですから

 

新文芸坐でヴィスコンティ「夏の嵐」鑑賞

夏の嵐(1954)
監督 ルキノ・ヴィスコンティ
主演 アリダ・ヴァリ
原作 カミロ・ボイト『官能』
監督助手 フランコ・ゼフィレッリ

 
オーストリア占領下のヴェネツィアで、イタリア統一戦争を背景に、伯爵夫人とオーストリア士官の不倫と破局を描く。この士官がもう見るからにろくでなし。でも騙されちゃう。恋を知らない貴族の婦人だから。


いやもう、ぐうの音も出ないイタリア貴族の美意識で…
(ヴィスコンティ家はミラノを支配してきた貴族の家系です。紋章のビショーネは人をのみこむ蛇で、ミラノの紋章である十字とともにアルファロメオのエンブレムに使われています)

画面の隅々まで息苦しいほど美しい。本物しかない。
内容がメロドラマだろうが関係なく、ぼうっと見ているだけでいい動く名画。
もう、ドレスの裾の捌き方や座り方のフォルムひとつひとつが美しいです。
映画館で見る映画ですね。庶民の貧乏なインテリアの中で見る映画ではありません。
ティツィアーノの絵を飾れるくらいの家じゃなきゃムリ。
 
で、イタリア貴族の許さなさ。
やられたらやり返す、倍返しどころじゃない、ぶっ殺す。
ニーベルングの指輪のブリュンヒルデのように、ヨーロッパの

「泣き寝入りはしない。やり返す。私が間違っていた、OK死ぬ。でも世界も滅べ!」

な強さ、ぜひともアジアにも取り入れていただきたいものです。

NO泣き寝入り
蝶々夫人、死んでる場合じゃない、やり返し倍返しすべし
そんなときの為の始末人だよ。
マダム・バタフライwith始末人
高慢と偏見とゾンビみたいにリニューアルしよ?
 

イタリア貴族のインモラルと豪奢な美意識を見ると、英国貴族は田舎の人だなあと思ってしまいますし、ヴィスコンティとフェリーニはなぜか並べられることが多いけど、フェリーニは豪奢を描こうとしてもやっぱり貧乏の匂いがする。本物の貴族の感覚は庶民の想像ではわからない。
太宰治の斜陽が、地方地主の想像レベルなのと同じで、だから一般にわかりやすいのと似ています。

モラルは庶民を支配するためのツールで、貴族はそんなものには縛られない。
近親相姦、ペド、乱交、同性愛、不倫、殺人なんでもあり
貴族ですから。
ビョルン・アンドレセンの一番美しい時を無造作に摘んで散らす。
貴族ですから。
貴族は庶民のことなんかしったこっちゃないから。
描きたいとこだけ完璧に描いていきなりFIN
庶民のいいねや共感レベルになんか降りてこないから。
もうこちらはハァーって見てて突き放されてわからんけどとにかくぐうの音も出ない。
 
 
 
 
「ベニスに死す」を入門としたら、「ルートヴィヒ」「地獄に堕ちた勇者ども」から
合間に「熊座の淡き星影」「若者のすべて」などを挟み、最後に「家族の肖像」「山猫」の順にみるとだんだん大人の複雑な世界になってくる気がします。
映画館で。ありがとうございます名画座。
年齢と共にバート・ランカスターの気持ちがわかってきて、しみじみと名作の深みを味わいます。
 
 
ヴィスコンティのこだわりは実のところ同性愛ではなく母親だという点で、三島由紀夫に似ています。
 
前近代の階級の美意識を最後まで持ち続けるのは女性なので(男性は死んでしまうから)息子たちは滅びゆく貴族という未亡人の息子になってしまう。
 
 
 
 
「この許さなさを思うと、アンデルセンの人魚姫、気持ち悪い」
「アンデルセン、現代にいたら本当に気持ち悪いオタクだと思う」
「足が悪い、口がきけない、めそめそして最後は自分が死ぬ」
「しかも死体を残さない。泡になって消える」
「どんだけ都合がいいんだよ」
  「とことん弱くしないと妄想の対象にもできないのか」
  「被害者気分の自己憐憫に酔うヒロイン気質を語られるイラッと感」
「ディズニーのリトルマーメイドはよう知らんけど」
「そんなんじゃない、改変すべき」
「助けてやったらまず名乗り上げて謝礼を要求すべきだね」
「死ぬまで恩を忘れないよう首根っこ掴んでね」


いつもの店で飲んで帰る

 

 

 

最近の眉毛兄弟

 

ふう、三月です!!2021年が急ぎ足で過ぎていきます。
でも眉毛はいつも眉毛!
安心の伝統芸能の趣ですね。

リアム・ギャラガー、兄ノエルに買ってもらったジョン・レノンのネックレスの行方を明かす
https://rockinon.com/news/detail/197778

昔、ノエルお兄ちゃんが、ジョン・レノンが使っていたネックレスをオークションで買って弟に上げたそうなんですが
そんないいもの貰ってたんだね!よかったね…思い出はいつも美しい。

そのネックレスについて、こちらの動画でふれています。

リアム・ギャラガーに73の質問─オアシス、最近の音楽、真のロックスターについて | 73 Questions | VOGUE JAPAN 2020




「今までで一番の贈り物は?」
「兄貴がくれたジョン・レノンのネックレス」

 

即答。散歩中のノラ犬感がすごいです。
ヴォーグの質問シリーズは、テイラー・スウィフトやセレーナ・ゴメス、ハリーポッターのダニエル・ラドクリフなど色々上がっているのですが、リアムがダントツで面白い。
動物の反射で答えているから、よく見せようとか賢く見せようとか計算が全然ない。

で、その大事なネックレスは今どこにあるかというと、ミュージアムだそうです。



「大事にし過ぎてミュージアム。自分にとって有り余りすぎとおもったんだね。野生だから自分を知ってる」
「ものに執着しないからね。今を生きてるから。でももらったものは全部嬉しいんだよ。きもち!」

 

映画「クリエイション・ストーリーズ」で誰かが兄弟を演じるらしいのですが、眉毛が再現できれば80%は似ているでいいと思います。

 

 

 

 

 

異端の鳥 感想

 

 

映画『異端の鳥』

イェジー・コシンスキー 原作
ヴァーツラフ・マルホウル 監督
チェコ・ウクライナ映画 2019

 

第二次世界大戦時。田舎の叔母の家に預けられた少年は、叔母の頓死により一人きりで世界に放り出され、旅をし、様々な人と様々な残酷と差別に遭遇していく。
子供が差別、虐待に晒されるという意味では、「サーミの血」や「存在のない子供たち」と同じジャンルですが、圧倒的に残酷で野蛮。

 


とりあえずのネタバレ感想

 

「いやちょっと、救いがなくてね。この話を受け止める心の畑が自分にはまだない」
「最後、ハーヴェイ・カイテルとジュリアン・サンズどこにいた!?ってびっくりしたよ」
「あの変態か。ジュリアン・サンズ『眺めのいい部屋』とか出てたよね」
「きれい系だったけどね、ここにきたか。ナイスキャスティング」

 


「変態(ペドフィリアのサディスト)も怖くて不快だけど痴女(性依存症の獣姦マニア)も怖いです」

「教育と文化がないと娯楽が性欲だけになるということがわかります。村こわい」

「『神聖なる一族24人の娘たち』と同じ、選択肢ゼロの村。もう怖い逃げたい」

「逃げても逃げてもおかしな奴が出てくる。そりゃあ馬にしか話しかけなくなる」

「馬を助けたかったのにね…あんな目に。子供の眼があの眼だもん。あの目で見るぞ※1」

「子どもを性的に搾取するのは言語道断だけど、女子どもと弱者は基本的にモノ扱いなんですよね。その中で互いに暴力を振るう」

「ユダヤ人(明言はしていないが)だから異物として迫害される、というけど、女や子どもや弱者は未発達な社会では異物であり搾取と迫害の対象なんじゃないかと思う。
子どもは大人に、女は男に、男は社会に守られていないと異端であり差別の対象になる。そこにさらに人種って勝手な理由をつけてイジメるのは、知的障害者や足を無くした子どもをイジメるのと同じ」

「その世界ではむろん女も弱者も子供もどの人種も加害者でありうる。被害者も加害者であり、加害はより異物に向かっていく。文化があれば表面的にでも抑えうる本質が剥き出しになる」

「異物を排除するのが人間の本質ってのは今更であって、そんな今更を他人事みたいにいってるのなんだよと思う」

「話が長いって会議から除け者にされる異物扱いを実感したことがない人なんじゃないの。性的搾取される屈辱や恐怖や怒りや絶望も感じたことがないヤツ」

「やっぱり教育が重要。対話がない、本を読まない、想像力がない、暴力と差別が直結する世界」

「橋本治が、平安時代400年で戦争をせず死刑を行わず政敵はイジメ殺していた日本の洗練について『平家物語』で語ってたけど、初めてそうだなって思った」

「まあでも差別の根っこは同じですからね。女は話が長くて会議にいらないっていうやつは時と場所が違えば女を殴るやつと同じところにいるからね」

「あとコサックこわい」

「ロシア許さないってなるよ。そりゃ一生許さないって」

「ドイツも許さんてなる。助けてくれた人いたけどそれはそれこれはこれ」

「子どもの命助けるなんて当たり前ですから。敵も味方も関係ない、どの軍隊も正義じゃない、極悪。巻き込まれた一般人にしたら」

「ナチスって絶対悪の象徴があるからごまかされてるけど」

「東欧の闇が深すぎて。北欧とはまた違う闇なんだよね」

「最終的には『アンダーグラウンド』のクロみたいに『許そう、だが忘れない』になりたいんだけど、なかなかそうはいかない。許すけど忘れないは難しい」

「鳥飼いとか水車小屋の夫婦とか、遭遇しただけで心が壊れそうになります」

愛してもらえるのかなって思った子どもを単に自分の性欲本位で利用してたのが一番ひどい。求めてたのは性的な触れ合いじゃなく心の繋がりなんだよね。プレゼント作って持って行ったのにヤギと交尾。そりゃゴッドファーザーするって。動物の頭寝室に放り込むって」

「もうあそこで壊れちゃった。成長とか逞しく生き抜くじゃない、何か大事なものを捨てた。老人を殴って物を奪うとか、暴力を弱いものに加える側に回った」

「焼き殺したり目を抉ったりの肉体的暴力シーンより、心のやわらかいところと尊厳を傷つけ取り返しがつかないほど損なう事のほうが残酷。ロシア兵が『目には目を歯には歯を』って子どもに人殺しを正当化して銃を与えるのもダメ」

「あと、『おれも大変だったんだ』ってあんな目にあってきた子どもに言っちゃ絶対ダメなやつ」

「ちょっと見せてきてたもんね、腕。そんなんでいい話で済むと思うなよ」

「けっこう撮影長かったのかな。子どもが太ってきた」

「成長期ですから。飢えの描写がないのはよかった。飢えはつらい」

「歴史から学んでアップデートできないなら、人間もう滅んでもいいなって思いました」

「教育だよ教育、人道教育」

 

一人で見るのはきついので、誰かと見て言語化することをお勧めします。
しばらく夢見が悪くなります。

 

補足

・言語はエスペラント語。地域や国を特定しないため
・作者のコジンスキーはこの作品で盗作や虚偽の疑いをかけられた。実際は不明。自殺している。
・JOC森発言の直後だったのでついそちらに話が流れがちに
※1 あの目
 エーロ・エリク・ニコライ・ヤルネフェルト「賃金奴隷」(1893)フィンランド アテネウム美術館蔵

 

 フリー絵画, エーロ・ヤルネフェルト, 風俗画, 農家, 焼畑農業, 火(炎), 煙(スモーク), 女の子, フィンランド

 

 

 

最近の眉毛兄弟

 

ノエル・ギャラガー、リアム・ギャラガーが書いた好きな曲を語る

https://nme-jp.com/news/98005/

 

最近ご機嫌だとおもったらこれか~~~

「骨投げた!」
「最近ニコニコしてるのはこれのおかげ?w 骨、すぐ取り上げないでね」
「長くしゃぶるから奪わないで!」

ウォッチャーの記憶が確かなら、前に眉毛兄が弟に骨を投げたのは2017年6月ごろ
「俺はロックンローラーじゃない。リアムはそうだけどな」
これ
これ以来。

ひゅう! 約4年ぶりだぜ!
よかったね!

 

ところで去年の今頃何かいてたかなって思ったら、スーパーボウルのハーフタイムショーについてコメントしてました。
今年は会場に2万2000人(うち医療関係者7500人)を迎え入れる予定。だって。

やめなよ

 

全豪オープンもホテルスタッフが陽性で選手スタッフ500人隔離、試合中止のさま。
オリンピックだって現場のスタッフは通いなんだから起きるよ。
開催された場合の予想
・何だかんだ感動話をまぶしたTVと祭りに水を差してはいけないというわきまえ衆愚精神により犠牲者が闇に葬られる

最近、坂口安吾の堕落論を読み返したんですけど、
けっこう最近の感覚って戦前に戻ってきてるよね。こわいわー

 

 

 

 

 

あれやこれや

うーん、ちょっと弱ってきてるな

でもマイナスからフラットに、そしてプラスになるのが精神なのでまずは正気の友達と対話して違う視点を!

 

めも

・眉毛弟、雪が嬉しくて写真を連投。デビ―らしき人と手を取り合ってバンザイ
\(^o^)/\(^o^)/している姿に、よかったね!ほっとした!安心したウォッチャー!レノンもモリーもインスタでいいねしてくれたし!

 

・現実逃避で、素粒子の事とかしらべてみる。太陽系のすべてはガスと塵から生まれ、またガスと塵に戻っていくんだと思うと、なんでも些細な事だと思えてきます。
 ニュートリノってそこらじゅうにいるんだ…体を今もすり抜けてるんだ…スーパーカミオカンデ…ひも理論難しい…ストーン・フリー的なものだと思いたかった。

 NHK子供科学電話相談。おもしろい。

「どうして友達と同じものが好きだとうれしいの?」

「自分と同じものを好きな人がいるって分かると、『私は正しいんだ!』って思えるんですって。『自分の好みは間違ってないんだ!』『正しかったんだ!』って思える。『それでいいんですよ』って自分を肯定する心理が働くこと。この、『自己肯定感』っていうのは、私たちが生きていくうえでとても大切なことなんですね。」(大日向雅美先生)

!!!おお~~~~

質問者は小学五年生で、友達とたまたま同じキャラクターが好きですごくうれしい気持ちになったそうです。かわいいね。
先生は、違うものが好きな人との関わり方、受け入れ方、その上で、私はこう思うを伝える方法など、丁寧に説明してくださいました。大人だ!これが大人!

メンタル子供なので、結構びっくりしました。なるほど…
自己肯定感が得られるから、同じものを好きな人と繋がりたいと思うのか…
いやそういう言い回しはよくないな
同じものを好きな人と繋がると、自己肯定感が働くんだね。
ああ、でも友達と好きなものが同じで嬉しいと、好きなものが同じだと嬉しくて友達になるはまた違うよな…うーむ


唐突ですが、私は二次創作をするタイプのオタクですが、同じものを好きで嬉しいという気持ちが特になくて、なぜならそれで自己肯定感を得られるほど純粋じゃないうえ、同じキャラクターやCPが好きでも、好きの対象より、その人がなぜそこにどんな風に思い入れているのか、どんな欲望や希望や欠落を投影しているのか、その好きの感情が沸いて出る根源に興味が向いてしまって、そういうのは相手に失礼だから関わらないようにしているのですが。
自分の性向も分析しているけど、当然そこにはごまかしがある。自分の見たくないところから人は目を逸らすものですから。そういう分析をしている自分に肯定感がある。
同人女じゃなくて偏屈なオタクなわけで、そういうカテゴライズもあるんだよと。
自己肯定感のあり方について考えさせられました。
あと、自己肯定感のうれしさの上に成り立っている友情は長続きしない気がするな。
長続きする友情は、自分の価値観がしっかりある者同士が同意/非同意を語ることもできて、なおかつ相手の領域を尊重して距離を取る、って事の上に成り立つと思います。

SNSでいいねをする、されるのもある意味自己肯定感の数値化ということでしょうか。
陰謀論や極右・極左のようなものが蔓延るのもわかる気がします。
その井戸の中で互いの正しさを確認しあっていたら気持ちいいだろうからね。

・コロナ鬱。
母が病気で早くに他界しているので、そういう事はあるなと思っているんだけど、
やっぱり病気プラスコロナで死んでほしくはないんですね。
というか、政治の問題だよこんなの。
既存病を治療しながら入院できる病床もう都内で満床で、何かあったら相当ヤバい。
ワクチンと医療現場へ税金を。そしてオリンピック中止。
IOCに「わが国民が死んでもいいというのか!」くらい言えよ。
契約なんか状況によって変えるでしょうが。ビジネスってそんなもんでしょう。

 

 

とりあえずぶち上げとけ、でもよく考えて


米国大統領就任式、無事に執り行われてよかったですね。

レディーガガの国歌斉唱も、アマンダ・ゴーマンの詩もよかった。
服も素敵で鮮やかでした。
アマンダさんのイエローのコートはプラダで、彼女にこの役を依頼したジル・バイデンが初めて彼女を見た時黄色の服が素敵だったと手紙をくれたからというのも素敵。

無論、バイデン大統領は前途多難で、パトリック・ハーラン(パックン)がニューズウィーク日本版に「貧乏くじを引いたかわいそうな大統領、コロナ対策、国内、国外、政治経済外交に課題が多すぎる、前任者が放火魔の所にやってきた後任の消防署長」と書いていたように、決して明るいスタートじゃない、むしろ暗たんたるものです。

でも誰かがやらなきゃいけないことだし、
そのために、大げさな感動パフォーマンスだとしても、就任式イベントはかなり成功裏に希望をぶち上げられたのではないでしょうか。

 

「コロナに打ち勝った証」オリンピックってもっと大きなテーマの盛り上げイベントが日本でこのレベルで出来るとは到底思えないけど。
ピントのズレた村の体育祭みたいになるんじゃないかという予想しか浮かばない。
というか、しなくていいです、今年。

家族に疾患を抱えた人がいる身にとってはただの危険を長引かせるイベントでしかない。何が打ち勝った証だよ。腹立つ。

「水面下で中止の調整しているはず。そうじゃなきゃバカ」
そうだよね、チキンレースで外交してるんだよね、という言葉を信じてきたんですが、まさか違うのかと最近不安。

 

 

 

 

人間なんか目じゃないぜ

 

年末年始に濃厚接触者として引きこもっている間、『銀牙ー流れ星銀ー』を読んでいました。

友達から「フィンランドでは銀牙が大人気なんだって」と聞いて

https://sirabee.com/2020/12/31/20162479974/

心が通じるわけだわ(一方的に)、けものの心をもつスオミ。
だって人口の1%がメタリカのライブに行く国だし!!

誰(犬)が好きか語り合いたい。

あなたの推し犬は?

私はベン。

みんな大好きリーダーで幹部のベン。
慕われちゃって、ジェントルマンで、自分のことそっちのけで怪我ばっかりして自分の身を顧みず任務一途の命がけで仲間を守るのに、ちゃっかり彼女をつくってたとことか。

ほとんどブチャラティですよね。

銀がジョルノならスミスがミスタです。
ジョンがアバだね。アバよりずっと役に立つけど。

赤カブトはシャトゥーンよりゴールデンカムイよりずっと前にヒグマの恐怖を教えてくれたんだぜ。

人間なんか役に立たない。山持ってるだけ。

犬さいこうばんざい。
という漫画です。